中小企業向けの賃金UPを目的としたIoT・ロボット等による省力化に対する投資補助金の新たな制度が開始されました。ロボット関連の補助金として、すでに運用開始されている”ものづくり補助・省力化枠”と比較すると、補助金申請するユーザ企業にとって簡易迅速な投資実行が可能な制度となっていますのでご参考ください。
ものづくり補助金(省力化枠)との違い
ロボット関連の補助金ですと、”ものづくり補助・省力化枠”が先行して運用が開始されていますが、制度の目的についてはIoT・ロボットを活用した省力化による賃上げ実現という意味では同様ではありますが、達成手段として、ものづくり補助金が省力化のためのカスタム設備の投資を補助することで投資促進することであるのに対し、今回の省力化投資補助金では、あらかじめカタログ登録された汎用の省力化製品をユーザが手軽に導入できる制度運用となっています。
制度の概要
本補助金は簡易・迅速に省力化を実現することを目的としています。あらかじめカタログ製品として登録した省力化対象製品を連携する販売事業者が、導入予定のユーザ企業と共同して申請する運用となります。概要と全体のイメージについては以下となります。
全体の申請手続きとしては主に以下の3フェーズに分かれます。まずは対象としたい省力化製品をカタログ登録(フェーズ①)した後、導入する中小企業に対する販売・共同申請をするパートナーとしての販売事業者を登録(フェーズ②)が必要となります。そして、具体的な案件を補助金申請(フェーズ③)する流れとなります。
フェーズ①:対象製品における省力化製品のカタログ登録(工業会等・製造事業者による各申請)
フェーズ②:販売事業者の登録(製造業者・販売事業者による各申請)
フェーズ③:補助申請(販売事業者・中小企業等による共同申請)
省力化製品の製造事業者の定義については、日本国内で対象製品を生産している国内製造メーカだけでなく、海外メーカ製品を日本国内で販売している総代理店でも上記の製造事業者に含まれます。ですので、カタログ登録ができる対象製品は国内メーカ品に限られている訳ではなく、海外メーカ製品の販促にも活用できる可能性があります。
また、現時点でのカタログ分類としては以下が設定されています。工業会等の取りまとめを通してとなりますが、新規の分類を依頼をすることも制度上可能です。
メーカ側のメリット・デメリット
上記のとおり導入補助金の対象となれば、最大半額が補助される可能性がありますので、販促しての活用メリットがあります。また、製品が事前にカタログ登録されますので、公的サイトである省力化補助金サイトにカタログ登録されること自体が自社製品のPRになるかと思います。ただ、申請手続きや社内外への説明のためにリソースを割かなければならないことがデメリットして挙げられます。まとめると以下となります。
◯メリット
・自社製品がカタログ登録されることによる宣伝効果
・補助金導入が可能となることによる中小企業への販促効果
・海外メーカ製品の日本総代理店にとっても販促として活用が可能
◯デメリット
・申請手続きや社内説明のために人員リソースが割かれてしまう
・他社連携における手続きによりタイミングを逃してしまう
・商談毎での顧客説明や質疑応答に時間がとられてしまい商談件数が下がってしまう
ユーザ側のメリット・デメリット
中小企業等の要件を満たせば、補助金による導入コストの削減のメリットがあります。ただし、賃上げ要件等の報告実績が必要となりますので導入後の報告等が必要となります。
◯メリット
・補助金活用による導入コストの抑制が可能
・カタログ製品からの選択となるの迅速な製品導入が可能
◯デメリット
・適合の調査や事業計画の策定、実績効果の報告等に社内リソースが割かれてしまう
・導入後のサポート・メンテナンスの手続きが必要となり業務負担となる可能性がある
将来の制度活用について
今後、制度の活用をご予定されているメーカ様やユーザ様で、具体的な申請方法や今後のスケジュール等でご質問がありましたら、WEB会議等で説明差し上げますのでお問い合わせください。また、上記ようなデメリット解消につきましても対策のご提案できますのでお気軽にご相談ください。